日本の名店の味を海外の食卓へ 冷凍グルメの試販と、それを支える国内拠点

器に盛り付けた支那そばや本店の佐野実流担々麵
mitaseruで紹介される支那そばや 本店「佐野実流 担々麵」の商品写真。2026年7月の発表資料より。写真提供:株式会社mitaseru JAPAN/PR TIMES

旅日僑網が報じた高級冷凍食品の海外展開。mitaseruのシンガポールでの試販と、製造・保管・発送をまとめる船橋拠点を一次資料から紹介する。

器に盛り付けた支那そばや本店の佐野実流担々麵
mitaseruで紹介される支那そばや 本店「佐野実流 担々麵」の商品写真。2026年7月の発表資料より。写真提供:株式会社mitaseru JAPAN/PR TIMES

旅行先の店で出会う料理を、自宅でも楽しめるようにする。日本の名店の味を冷凍食品として届ける取り組みが、海外へも広がろうとしている。旅日僑網は10月18日付の「日本“高级冷冻食品”探索海外市场」で、テレビ朝日ANNの報道を紹介し、日本の高級冷凍食品事業の海外展開を取り上げた。

記事で触れられた動きの一つが、三井不動産グループによる冷凍グルメだ。企業の発表資料をたどると、シンガポールでの試験的な販売と、国内で商品をつくり届ける体制の整備が並行して進んでいる。単に料理を凍らせるだけでなく、販売や物流をどう結び付けるかが事業の焦点となる。

シンガポールで試し、反応を調べる

三井不動産とmitaseru JAPANは9月29日、プレミアム冷凍グルメ「mitaseru」の越境EC販売と消費者調査をシンガポールで実施したと発表した。現地ECサイト「J PASSPORT」で販売し、380人への調査では96%以上がサービスの考え方に魅力を感じると回答したという。日本国内で製造した商品を冷凍し、低温を保つ物流網を使って届ける仕組みだ。

この数字はサービスのコンセプトへの反応を示すもので、購入者の満足度や継続購入率と同じ意味ではない。海外への本格展開が完成したという発表でもなく、企業は検証を続ける方針を示している。まず実際に売り、消費者の反応を確かめる段階として見ることが大切だ。

名店の料理を、家庭で選べる商品に

mitaseruは、飲食店の料理を家庭で楽しむための冷凍グルメサービス。運営会社の7月30日発表では、参加店舗は57店、商品は112品に広がった。この時点で加わった商品の中には、支那そばや 本店の「佐野実流 担々麵」、とうふ屋うかいの「厚揚げと牛しぐれ煮」などがある。

名店の料理といっても、扱うのは一つのジャンルに限られない。ラーメンや豆腐料理など、異なる店の品を家庭向けの商品として紹介する。記事の写真は7月の発表で提供された担々麵のもので、今回の海外試販会場を写したものではない。また、この品がシンガポール向けに販売されたと確認したわけではなく、国内サービスの具体例として掲載している。

飲食店にとっては、客席で提供する以外にも料理を届ける機会をつくる取り組みとなる。運営会社は、日本各地の店が育ててきた味や技術を次の世代へ伝えることも事業の目的に挙げている。家庭の利用者にとっては、店まで足を運ぶ時間を取れない日にも、食事を選ぶ幅が広がる。

製造・保管・発送をまとめる船橋の拠点

国内の供給を支える施設として、同社は千葉県船橋市に新しいセントラルキッチンを設けた。7月30日の公式発表によると、施設は前日の7月29日に竣工し、稼働開始は2026年秋としている。建物が完成する日と、商品を製造し始める時期は分けて示されている。

所在地は船橋市浜町2丁目4番3号。三井不動産の物流施設「MFLP船橋」内に置き、製造のための厨房に加え、在庫を保管する冷凍倉庫を備える。既存の大阪拠点の約2.5倍の面積で、首都圏の需要に対応する製造・物流の拠点と位置付けられている。

冷凍商品は、つくった後の保管と配送も含めて品質を支える必要がある。船橋では製造から発送までを一体で担い、ヤマト運輸の首都圏の物流ターミナルへ直接運ぶ計画だ。大阪で営業所を経由する流れと異なり、配送件数の増加への対応や効率の向上を図る。

二つの地域から届け、余剰品の活用も

大阪の製造・配送拠点は2025年9月に拡大改修している。関西と関東の2拠点を持つことで、生産量や物流能力を増やすとともに、災害や急な物流網の混乱が生じた際にも供給を続けられる体制づくりを進めるとしている。

同社は7月の発表で、品質には問題がなくても賞味期限が近づいて販売しにくくなった商品を、子ども食堂などで活用する方針も示した。船橋の地域ネットワークとの連携も計画に含まれる。生産や販売を増やす一方で、商品を使い切る仕組みも合わせて考える取り組みだ。

冷凍グルメの海外展開は、食文化を楽しむ場を店舗の外へ広げる試みといえる。国内で商品を安定して供給する体制と、海外での需要の確認を積み重ねる必要がある。購入時は、公式通販サイトで現在の商品、価格、配送地域、保存・調理方法を確認してください。

多元ニュース編集部/2026年10月19日
出典:旅日僑網(ページ表示日2026年10月18日、ANN報道の紹介)、三井不動産・mitaseru JAPAN発表(9月29日)、mitaseru JAPAN発表(PR TIMES、7月30日)

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