
台湾にルーツを持つビーフンが、日本で商品として育ち、再び台湾の食卓を目指す。ケンミン食品は10月22~25日、台湾・高雄市で開かれる「高雄国際食品見本市」に静岡県藤枝市と共同出展する。創業者・高村健民の出身地である台南を含む台湾南部で、商品の認知向上と販路の開拓を進める計画だ。
同社は10月8日に出展を発表した。今年7月に台湾で家庭用商品の販売を始めており、今回の見本市はその後の南部での大規模な紹介機会となる。食品企業の海外進出に、製造拠点のある日本の自治体とのつながりが重なる取り組みでもある。
台南に始まる縁と、日本で広がった米めん
ビーフンは米からつくる麺で、台湾をはじめアジア各地の食文化の中で親しまれてきた。ケンミン食品は1950年の創業以来、日本での普及に取り組み、「ケンミン焼ビーフン」などを展開してきた。創業者の高村健民は台湾・台南の出身で、会社にとって台湾は事業の原点につながる地域だ。
今年6月には「FOOD TAIPEI 2026」に初めて出展し、7月に台湾で家庭用商品の販売を開始した。今回の高雄出展は、台湾への初進出そのものではなく、販売を始めた後に接点を広げていく段階に当たる。台北での紹介から、高雄や台南へと対象地域を広げる流れだ。
企業はこの展開を、台湾の米めん文化を日本で発展させ、その価値を故郷へ届ける「里帰り」や「逆輸入」と表現する。同じビーフンでも、日本で家庭用商品としてどのように親しまれてきたかを伝えることが、今回の紹介の軸となっている。
乾燥野菜と組み合わせ、食べ方も紹介
会場では「ケンミン焼ビーフン」やグルテンフリーラーメンなどを紹介する。現地の食品関連事業者やバイヤーとの商談に加え、消費者が商品を体験する機会も活用し、台湾南部で継続的に販売するための足場づくりを目指す。
特徴の一つが、藤枝市に本社を置く藤和乾物との企業連携だ。同社の乾燥野菜を使った焼ビーフンの試食提案を予定している。麺だけを並べるのではなく、別の企業の食材と組み合わせることで、日本の家庭での食べ方を具体的に伝える考えだ。
ケンミン食品によれば、高雄国際食品見本市は約330社が出展し、累計約2万人が来場する規模の催しとして紹介されている。この数字は企業が示した展示会の規模説明であり、開催前の2026年会場で実際に集計された来場者数ではない。
出展目的には、現地だけでなく海外バイヤーとの商談機会の創出も挙げる。企業単独のブランド紹介に加え、藤枝市や市内事業者の商品・地域資源をまとめて伝えることで、新たな取引先との接点を探る。
藤枝市にある製造拠点が共同出展の土台に
藤枝市との関係は、冷凍食品製造子会社「フジケンミンフーズ」にさかのぼる。同社は2017年に藤枝市内に設立され、冷凍焼ビーフンやグルテンフリー麺商品を製造している。ケンミン食品の発表では、2022年に工場を完全グルテンフリー化し、関連商品の生産を支える拠点となった。
今回の共同出展は、藤枝市が進める海外販路開拓事業の一環。台湾との経済、観光、スポーツの交流を進める自治体の活動と、企業の市場開拓を組み合わせている。製造工場が立地する地域との関係が、海外での紹介へもつながった形だ。
地域との協力は工場運営にとどまらない。2022年にはサッカークラブの藤枝MYFCとパートナー契約を締結し、スポーツ振興にも関わってきた。企業はこうした継続的なつながりを、今回の自治体・企業による連携の背景として挙げている。
給食での食育から、海を越える交流へ
今年8月18日の「ビーフンの日」には、藤枝市内の保育施設28園の給食にビーフンを無償提供した。焼ビーフンや汁ビーフンを通じ、子どもたちに米からできた麺を知ってもらう食育活動として実施したという。地域での食の体験づくりと、海外での商品紹介が、同じ米めんを通じてつながっている。
10月8日の発表では、10月21日に藤枝市とともに台南市政府を表敬訪問する予定も示した。現時点では発表された日程として紹介し、訪問が完了したとは扱わない。見本市の開催計画は10月22日木曜から25日日曜まで、会場は高雄展示ホールとなる。
来場する場合は、入場対象、開催時間、料金などを主催者の最新案内で確認してください。米めんのルーツに触れるだけでなく、日本の地域企業同士の協業が台湾でどう受け止められるかにも注目が集まる。
多元ニュース編集部/2026年10月21日
出典:ケンミン食品発表(PR TIMES、2026年10月8日)



