米国政界の一部が長年にわたり喧伝してきた「中国脅威論」を、米国の若い世代は今も受け入れているのだろうか。
シカゴ・グローバル・アフェアーズ評議会(Chicago Council on Global Affairs)が12日に発表した研究報告は、その問いに一つの答えを示した。米国の若者の大多数は中国を重大な脅威とはみなしておらず、むしろ中国に対して友好的な協力と関与を重視する政策を支持する傾向があるという。
報告書のタイトルも、その結論を端的に示している。
「Z世代は中国を懸念していない」
同報告では、Z世代を1997年から2013年までに生まれた人々と定義している。
今回の研究は、二つの世論調査のデータを基にしている。一つはシカゴ・グローバル・アフェアーズ評議会、米公共ラジオNPR、調査会社イプソスが今年3月13~15日に共同で実施した全米世論調査で、各年齢層の成人1025人が対象。もう一つは、同評議会が2025年に全米の2148人を対象に実施した世論調査である。
若い米国人の中国観に変化
報告書は、米中貿易戦争から、米国による先端技術の対中輸出規制、中国人留学生のビザをめぐる論争に至るまで、米中関係が緊張を強めるなか、米国の世論はしばしば「一貫して中国に否定的」と説明されてきたと指摘する。
しかし、こうした見方は重要な要素を見落としているという。それが「世代間の変化」だ。
若い米国人は、デジタルによる交流や国境を越えた教育によって形成された、より相互につながった世界で育ってきた。SNSの普及によって、中国文化に接する機会も以前よりはるかに増えている。
報告によれば、一部の米国のZ世代の若者の間では、自分たちは人生の「非常に中国的な時期(very Chinese phase)」にいる、と冗談を言う人さえいるという。
二つの世論調査の結果からは、米国人の中国に対する見方が、世代によって次第に分かれつつあることがうかがえる。
若い世代は、世界における中国の役割について比較的穏健で柔軟な見方を持つ一方、経済や社会における対中規制政策については、より懐疑的な傾向を示している。
Z世代で「中国の台頭は重大な脅威」は34%
報告書が挙げた主な調査結果は次の通り。
第一に、米国の若い世代は、中国の台頭が米国にとって重大な脅威だとは必ずしも考えていない。
中国の台頭を「重大な脅威」と回答した割合は、
- Z世代(1997~2013年生まれ):34%
- ミレニアル世代(1981~1996年生まれ):43%
- X世代(1965~1980年生まれ):56%
- ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ):62%
だった。
世代が若くなるほど、中国を「重大な脅威」とみなす割合が低下していることが分かる。
第二に、中国に対して「友好的な協力と関与」を重視する政策を支持した割合は、Z世代が59%、ミレニアル世代が58%だった。
これに対し、X世代とベビーブーマー世代はいずれも48%にとどまった。
中国を「競争相手」とみる若者も少ない
第三に、若い世代ほど中国を競争相手、あるいは敵対的な勢力と位置づける傾向が弱い。
中国を「競争相手」とみなす割合は、ミレニアル世代で49%、Z世代では43%だった。
一方、X世代では64%、ベビーブーマー世代では69%に達した。
第四に、すべての世代で「対中関税は米国人の生活コストを押し上げている」との認識がみられた。ただし、関税が中国経済に実際に打撃を与えているかどうかについては、世代によって意見が分かれた。
第五に、ミレニアル世代とZ世代は、中国人留学生に対する規制政策、関税引き上げ、米中間の貿易全体を縮小させる政策に強く反対する傾向を示した。
若者が重視するのは「地政学」より生活コスト
報告書は結論として、米国の若者は中国を脅威とみなす傾向が比較的弱く、中国との競争を前面に押し出す政策にも消極的であり、さらに、その競争によって生じるコストを負担することにも前向きではないと分析している。
その背景には、若い世代の関心が、海外における地政学的競争よりも、国内の生活費上昇や経済問題に向けられていることがあるという。
若い有権者が米国の有権者全体に占める割合が今後さらに高まれば、米政府の対中政策と世論との間にズレが広がる可能性もある。
報告書は、こうした状況を踏まえ、次の問いを投げかけている。
「次世代の米国人は、どのような米中関係を築くことを望んでいるのか」
実際、最近ではピュー・リサーチ・センター、ギャラップ、イプソスなど複数の世論調査機関が公表した調査からも、米国社会の中国に対する認識が、単純な「敵か味方か」という二元論から徐々に離れつつあることがうかがえる。
中国を単一の安全保障上の脅威として捉えるのではなく、「戦略的競争相手」という、より中立的な位置づけを受け入れる人が増えているという。
復旦大学中国研究院の劉典・副研究員は先ごろ『環球時報』の取材に対し、米国人の対中認識が変化している背景には、経済的コストや国際秩序に対する認識の変化だけでなく、社会や情報伝達をめぐる複数の要因があると指摘した。
劉氏は、近年、米国の主流メディアによる一面的な報道への信頼が低下する一方、SNSを通じて多様な情報や視点に触れられるようになったことが、長年固定化されてきた中国に対するステレオタイプを崩しつつあると分析。特に若者の間では、極端な対立を強調する言説に簡単には左右されなくなっているとの見方を示した。

(出典:環球時報ニューメディア・唐陸一)



