母子2人で5年かけたアニメ『牛来』が異例のヒット 興行収入7705元から1800万元超へ

母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット
母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット

公開当初、『牛来』はほとんど注目されていなかった。 8月5日の公開後も大規模な宣伝は行われず、公開10日間の累計興行収入はわずか7705元。2026年に中国の映画館で公開されたアニメ作品の中でも最低水準のスタートとなった。 ところが8月14日前後から状況が一変する。SNSに映画の映像や感想が投稿されると、粗い3Dモデリングや独特な人物の動き、配音などが話題となった。

中国で8月5日に公開されたアニメ映画『牛来』が、思わぬ形で注目を集めている。公開当初はほとんど観客が入らなかったが、作品の独特な映像がSNSで話題となり、興行収入が急増。8月18日には累計1800万元(約3億7000万円)を突破した。

『牛来』は信雨萌が監督、母親の孫麗芳が脚本を担当した86分の3Dアニメーション作品。大規模な制作会社による作品ではなく、母子2人を中心に約5年をかけて制作されたという。

母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット
母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット

公開10日で7705元

公開当初、『牛来』はほとんど注目されていなかった。

8月5日の公開後も大規模な宣伝は行われず、公開10日間の累計興行収入はわずか7705元。2026年に中国の映画館で公開されたアニメ作品の中でも最低水準のスタートとなった。

ところが8月14日前後から状況が一変する。SNSに映画の映像や感想が投稿されると、粗い3Dモデリングや独特な人物の動き、配音などが話題となった。

「本当に2026年の映画なのか」
「ここまで言われると逆に見てみたい」

といった書き込みが相次ぎ、作品への批判が、逆に観客の好奇心を刺激する結果となった。

「どれほどすごいのか見てみたい」

SNSでの拡散に伴い、映画館への上映リクエストも増えた。

一時21回だった全国の1日の上映回数は359回まで増加。ネット上では映画の場面を使ったパロディーやミームなどの二次創作も相次ぎ、作品を知らなかった層にも急速に名前が広がった。

映画としての評価以上に、「一度、自分の目で確かめてみたい」という観客心理が興行収入を押し上げた格好だ。

8月16日には累計興行収入が200万元を超え、その後も急増。8月18日には1800万元を突破した。公開10日間で7705元だった作品が、数日後には1800万元を超えたことになる。

母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット
母子2人制作の中国CGアニメ「牛来」、異例のヒット

母子2人で5年間制作

『牛来』の制作背景も注目を集めている。

監督の信雨萌は制作や声の出演など複数の役割を担当。1960年代生まれの母親・孫麗芳も脚本や声の出演を担当し、エンディング曲も歌ったとされる。

中国メディアによると、2人は外部の大規模な制作チームに頼らず、約5年間かけて作品を完成させた。こうした経緯が知られるようになると、ネット上の反応にも変化が現れた。当初は映像の粗さを指摘する投稿が目立ったが、その後は「母子2人で5年間作り続けたことはすごい」「完成させて映画館で公開した行動力は評価したい」といった声も増えた。

作品の技術的な完成度と、制作にかけた時間や情熱を分けて評価しようとする動きも出ている。

「牛来」の名前も思わぬ話題に

映画のタイトルもネット上で別の盛り上がりを見せた。

中国語で株式市場の上昇相場を「牛市」と呼ぶことから、「牛来」というタイトルを「牛市が来る」と結びつける投資家が現れた。映画館の座席を株価チャートの「ストップ高」の形になるよう購入した写真もSNSに投稿されるなど、映画とは直接関係のないところにまで話題が広がった。一部の「牛」の字が付く銘柄にも関心が集まり、中国メディアは投資家に対して、ネット上の話題だけを材料にした投機に注意するよう呼びかけている。

「酷評」が宣伝になった異例のケース

『牛来』をめぐる現象で特徴的なのは、本来なら興行にとってマイナスとなるはずの批判が、結果として作品最大の宣伝になったことだ。

映画会社による大規模な広告ではなく、観客の投稿、ツッコミ、パロディー、二次創作が次々と新しい観客を呼び込んだ。作品そのものを見るだけでなく、「ネットで話題になっている現象に参加する」ことが映画館へ足を運ぶ動機になったともいえる。

公開10日で7705元。それが、わずか数日後には1800万元を超えた。

『牛来』の異例のヒットは、SNS時代の中国映画市場では、作品の評判が必ずしも従来の「好評か酷評か」という二つの尺度だけでは興行成績を決めなくなっていることを示している。

映画の評価をめぐる議論は続いているが、ほとんど知られなかった母子2人の作品が、数日のうちに中国全土で知られる映画になったことだけは確かだ。

(多元ニュース編集部/2026年8月18日)

中国CGアニメ「牛来」のポスター
中国CGアニメ「牛来」のポスター
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