楽天グループは9月16日、中国浙江省杭州市に「楽天越境EC(中国)有限公司」を設立したと発表した。中国の事業者が日本の「楽天市場」に出店し、継続して店舗を運営するための支援を強める。登記日は2026年8月24日、代表者は周洋氏。中国での商品調達と日本向けの販売を結ぶ現地拠点となる。楽天グループの発表(PR TIMES)

出店前の学習から、日本語・中国語での運営支援まで
新会社の支援対象は、出店準備から開店後の販売活動までに及ぶ。日本の商習慣や消費動向を学ぶセミナーを開き、出店後は日本語と中国語に対応するECコンサルタントが店舗の立ち上げや販売促進を支える。杭州には運営研修を行うマーチャントサポートセンターも設ける。「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」などの企画を活用し、店舗の認知や再購入につなげる支援も行う。
楽天はこれまで上海と深圳の拠点を通じて中国事業者を支援してきた。杭州への進出で、従来注力してきた華南に加え、華東・華北・華中への対応を広げる方針だ。同社によると、楽天市場の海外事業者は2025年に1,000店舗を超え、中国からは小型家電やアウトドア製品などの出店が伸びている。この店舗数は中国だけではなく、海外事業者全体の数字である。また、海外事業者の流通総額は2020~2025年の年平均成長率が30%以上だったという。店舗数と取引額の双方の拡大を受け、支援体制を厚くする動きといえる。支援体制と出店状況
なぜ杭州なのか――越境ECの制度づくりを担った都市
杭州は、国境を越える電子商取引の制度整備に早くから取り組んできた都市だ。中国国務院は2015年3月7日、中国(杭州)越境電子商取引総合試験区の設立を認めた。当時の通知は、ネット上の売買だけでなく、決済、物流、通関、税金の還付、外貨決済などを一体として改善する方向を示している。
狙いは、個別の手続きを便利にすることにとどまらない。技術基準や業務の流れ、行政の管理方法、情報システムを試行し、他地域にも広げられる仕組みをつくることだった。越境ECを、販売サイトに加えて配送や決済などが連動する産業として育てる考え方が読み取れる。今回の新拠点を理解するうえでも、杭州がこうした制度とサービスの蓄積を持つ点が背景となる。国務院の試験区設立通知
日本の消費市場と、中国の販売事業者をつなぐ
日本側にも、ネット通販を利用する大きな市場がある。経済産業省が2025年8月に公表した市場調査では、2024年の日本国内の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)は26.1兆円で、前年から5.1%拡大した。これは国内市場全体の規模であり、中国からの輸入額や楽天市場だけの売上を示すものではない。経済産業省の2024年市場調査
今回の取り組みは、中国の事業者が日本の既存の通販モールを通じて消費者に接点を持つ動きといえる。出店時の手続きに加え、言語や商習慣の違いに対応する支援が設けられる点に、日中間の商取引としての特徴がある。
購入する際は、発送元と配送条件を確認
消費者にとっては、海外の商品を選ぶ機会が増える一方、注文前に店舗ごとの条件を確認することが大切になる。楽天市場の公式案内では、海外から購入者へ直接送られる商品は原則として個人輸入として扱われ、送料や配送方法はショップや商品によって異なるとしている。
同じ楽天市場内の商品でも、発送元や配送方法が同じとは限らない。注文する際は、商品ページとショップの会社概要で配送条件を確認してください。海外からの直送品については、商品代金以外に関税・輸入消費税などが発生する場合があるため、追加費用の案内も確認が必要だ。楽天市場「海外から日本国内への国際配送について」
また、届いた商品が注文内容と異なる場合、楽天市場は販売したショップへの連絡を案内している。問い合わせ先や返品・交換のルールは、各店舗の「会社概要」や「INFO」などに記載される。購入前に連絡先を把握しておくと、到着後の相談もしやすい。商品違いに関する公式案内
中国事業者の販売機会を広げる現地支援と、日本の消費者に向けた分かりやすい商品・取引情報。その双方が、新拠点を通じた継続的な取引を支える要素になりそうだ。
多元ニュース編集部/2026年9月30日



