中国の名碑を眺め、石に刻まれた文字を紙に写し取る。オンラインで書道を学ぶ人たちが、山梨県で書の素材と歴史に触れた。書道オフィス華は10月7日、「私の書道学校」が同月3日に行った修学旅行を発表した。全国10都道府県の受講生22人が参加し、西嶋和紙の字漉きと、大門碑林公園での鑑賞・拓本を体験した。

画面のお手本から、石碑の前へ
午前は身延町の「道の駅 にしじま和紙の里 かみすきパーク」、午後は市川三郷町の大門碑林公園を訪ねた。字漉きでは選んだ文字を指で表現し、碑林では復元された中国の名碑を間近に見ながら採拓に取り組んだ。書いた線だけでなく、紙の成り立ちや文字が残されてきた方法へと学びを広げる内容だ。
主催者は9月の表装講座、今回の旅行、12月の作品展を一連の学習として位置づける。作品展は12月11~13日、東京・六本木のAXISギャラリー4階で開催予定。約130点を展示し、入場無料と発表している。詳しい開催案内は10月7日付の発表と今後の主催者案内を確認してください。
山梨に復元された中国の名碑15基
発表に寄せられた受講生の感想も、手を動かす学習の特徴を伝えている。40代の参加者は、大人になって忘れがちな期待や驚きを思い出したと振り返り、50代の参加者は、拓本採りが想像以上に体力を使う作業だったと述べた。いずれも主催者が紹介した個人の体験談だが、文字の鑑賞が身体を使う活動にもなることがうかがえる。
大門碑林公園の特徴は、中国の書を建物や石碑のある空間で学べることにある。市川三郷町の施設案内によると、西安碑林や曲阜碑林の名碑をもとに、中国陝西省碑林博物館の監修・制作で15基を復元した。王羲之の文字を集めて刻んだ集王聖教序碑も含まれる。
書のお手本は、筆で書かれた瞬間から長い時間を経て、石への刻字や紙への転写を通じて受け継がれてきた。今回の体験は、その間にある作業に目を向ける機会にもなる。文字をデザインとして見る人にとっても、線の太さや字間、配置を、手元の小さな画像とは違う大きさで観察できる点が興味深い。
ただし同園は2026年3月29日で一般利用を休止している。町は団体予約やイベントに伴う開館は可能と案内し、個人のコスプレ撮影受付も休止中としている。訪問を計画する場合は、町産業振興課(055-240-4157)へ利用条件を確認してください。
和紙を「書く道具」から見直す
かみすきパークのかみすき館には、紙漉きの体験スペース、紙に触れて学ぶ展示、職人向けの共有工房がある。西嶋の書道用紙を実際に試せるコーナーも設けられている。完成した紙を買うだけでなく、つくる工程と使い心地を同じ場所で確かめられる施設だ。
公式の体験案内では、字漉きは約60分・税込1,100円。うちわ、灯り、タペストリーをつくるメニューもある。個人は現地受付で、受付時間は9時30分~16時。団体は事前予約となる。今回の旅行に参加していなくても、紙づくりから書の世界に入る方法がある。
施設は身延町西嶋345。公式アクセス案内は、JR身延線の甲斐岩間駅から徒歩約30分としている。碑林公園とは別の町にあるため、両方を回るなら移動時間も組み込んでおきたい。体験時間や受付状況は施設の最新案内を確認してください。
書道の登録審議はこれから
紙や石碑への関心は、作品を見せる工程にもつながる。同校の受講生は、12月の展覧会に向けて題材と作品の大きさを考え、制作を進めるという。会場の住所は港区六本木5-17-1、AXISビル4階。書道経験がない人も鑑賞対象とする催しとして案内されている。
自分で書くことに関心が向いた人には、同校が12月31日までの予定で案内するオンライン授業の1日無料体験もある。講義や手本、添削の動画を見られる仕組みで、申し込みは学校の公式サイトから。期間内でも終了する可能性があるため、利用時の募集状況を確認してください。
今回の発表には、書道のユネスコ無形文化遺産への提案という背景もある。文化庁の案内では、日本は2024年3月に提案し、2025年3月に再提出している。登録が決まったという意味ではない。
文化審議会の資料・議事録は、2026年11月30日~12月5日に中国・厦門で開催予定の政府間委員会で審議されるとしている。中国の名碑を日本で学び、日本の書道の提案が中国開催の会議で審議される。日中の接点を、文字を残す手仕事と学びの場からたどれる話題だ。
多元ニュース編集部/2026年10月8日



