広西・潿洲島にクジラの重要生息地 禁漁と観察のあり方から考える海の保護

潿洲島の海岸。2014年撮影の資料写真
潿洲島の海岸(2014年4月12日撮影の資料写真)。William Denniss / <a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Weizhou_Island_Beach_Panorama.JPG">Wikimedia Commons</a> / <a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/">CC BY-SA 3.0</a>。縮小、トリミングなし。

広西・北海の潿洲島周辺に布氏鯨の重要生息地が設けられた。保護区域の発表と、クジラが直面する船舶・水中騒音の問題を紹介する。

潿洲島の海岸。2014年撮影の資料写真
潿洲島の海岸(2014年4月12日撮影の資料写真)。William Denniss / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0。縮小、トリミングなし。

中国の広西チワン族自治区北海市にある潿洲島(いしゅうとう)周辺で、中国名「布氏鯨」と呼ばれるブライドクジラ類の重要生息地が設けられた。中国新聞網が10月13日、農業農村部の発表に基づいて伝えた。指定海域は335.43平方キロメートルで、同種を対象とした中国初の重要生息地として発表されている。

冬から春の採餌場所を守る

発表では、毎年12月から翌年4月までの特別禁漁に、5月1日から8月16日までの南海の休漁期間を組み合わせ、年間8.5カ月の禁漁とする。冬から春は餌が豊富で、クジラが採餌や休息に訪れる時期だという。2018年以降の調査で識別された個体は累計70頭超。これは長年の観測の積み重ねであり、現在一度に70頭が生息しているという意味ではない。

発表が挙げる課題には、漁業だけでなく船舶の航行やホエールウオッチングによる干渉も含まれる。海でクジラに出会う体験と、その暮らしを妨げないことを、どう両立させるかが問われる。

暖かい海に暮らすヒゲクジラの仲間

ブライドクジラ類について、米国海洋大気庁(NOAA)の水産部門は、熱帯・亜熱帯から暖温帯にかけて分布するヒゲクジラの仲間と説明している。大西洋、インド洋、太平洋に広く見られ、季節に応じて移動する集団もあれば、一定の海域にとどまる集団もある。クジラはすべて同じ距離を回遊するわけではない。

細長い体と先のとがった胸びれを持ち、頭の上には特徴的な三つの隆起がある。口の中のひげ板を使って餌をこし取り、群れで泳ぐ魚やオキアミ、エビなどを食べる。普段は単独または2頭で見られることが多い一方、餌のある場所では複数が緩やかに集まることもあるという。

こうした生態から、生息場所の保護を考える際には、動物が見える場所だけでなく、食べ物を得られる海の状態が重要になる。今回の潿洲島の発表を理解するうえでも、冬から春の餌資源と採餌場所に着目すると、禁漁期間を設ける狙いが見えてくる。

船との衝突、見えない水中騒音

NOAAが挙げる脅威の一つは、船との衝突だ。特に船舶交通が多い沿岸では危険が大きくなり、衝突はクジラのけがや死亡につながる。大型船との事故は、船側が気付かず、報告されない場合もあるという。そのため同庁は、クジラと船舶が同じ場所に集中するのを避けることを、危険を減らす重要な方法としている。

もう一つは水中の音である。クジラは音を使って周囲を把握し、仲間とのやり取りや餌探しを行う。人間が生み出す低周波の水中騒音は、そうした行動を妨げる可能性がある。海面からは穏やかに見える場所でも、水中の環境が同じように静かとは限らない。

NOAAは、生息数や分布の調査に加えて音響研究を進めている。海の保護を評価するには、目撃件数を数えるだけでなく、どの海域を利用し、どのような音環境で暮らしているかを継続的に調べる必要があることが分かる。

また、同庁は座礁した動物への対応を専門家のネットワークと連携して行っている。傷ついた個体を発見しても、観光客が自分で近づいて救助しようとせず、専門機関へ知らせるという考え方も紹介している。

「近くで見る」より、行動を妨げない観察へ

クジラ観察では、写真の迫力だけを追うと、船が動物へ近づき過ぎるおそれがある。NOAAは野生の海洋生物を観察する際、距離を保ち、観察時間を長引かせないよう案内している。船の速度を落とし、海面の噴気や背びれに注意することも、衝突防止のために挙げている。

ただし、同庁の米国向けの距離や速度の目安を、そのまま中国の現地規則として扱うことはできない。潿洲島を訪れる場合は、現地当局の最新案内と事業者の運航条件を確認してください。今回の生息地指定そのものが、新しい観光ツアーの開始や、特定日に必ずクジラを見られることを意味するわけでもない。

海の生き物を旅行先の見どころとして知ることは、保護への関心につながる。そこから一歩進み、餌を食べる時間や休む場所、船が発する音まで含めて考えることが、生息地を守るという取り組みへの理解を深める。

出典:中国新聞網(2026年10月13日、農業農村部発表に基づく記事)。生態・脅威・観察についての背景資料:NOAA Fisheries「Bryde’s Whale」。本稿は発表の要点に公的機関の解説を加えた独自編集記事です。

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