古い本を未来の読者へ 北京大学の古籍修復と、紙を守るデジタル閲覧

北京大学図書館の建物外観を写した資料写真
北京大学図書館。2006年4月公開の資料写真。Frjj/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。原画像を使用。

中国新聞網が北京大学図書館の古籍修復室を取材。傷みに応じた手仕事を入口に、日本の資料保存との共通点、デジタル閲覧、学外者の利用条件を公式資料から紹介します。

破れたページを直し、古い本を再び読める状態へつなぐ。中国新聞網は10月13日、北京大学図書館の古籍修復室を訪ねた記事を掲載した。古い本の保存は、歴史好きだけの話題ではない。紙や装丁のデザイン、手仕事、デジタル技術が交わる仕事でもある。現地の報道と図書館の公開資料から、古書を守りながら使い続ける仕組みを紹介する。

北京大学図書館の建物外観を写した資料写真
北京大学図書館の外観。2006年4月公開の資料写真(今回の修復取材時の写真ではありません)。撮影:Frjj/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。原画像を使用。

一冊ごとの傷みを見て、直し方を選ぶ

中国新聞網の曾玥記者による記事は、修復師の王秀敏氏が清代の図冊『臨安全図』に向き合う様子を伝えた。ページの傷み方に応じて作業を変え、元の姿をできるだけ残すという。図書館では破損の程度や利用の必要性に合わせた修復を進める一方、学生が糸で本を綴じる体験を授業に取り入れている。留学生も参加するこうした実習は、本を「読む」だけでなく、その作り方から文化を知る入口になっている。

日本で刊行された本も収蔵

同館の古籍コレクションの紹介を見ると、対象は文学書に限らない。敦煌の巻子、宋・元代の版本に加え、地方の歴史や地理を記録した地方志、家系をたどる家譜、演劇や小説の特別コレクション、古地図、拓本などが含まれる。書物の形や内容から、当時の土地や人々の生活へと関心を広げられる資料群だ。

出版された国・地域による分類では、日本の版本も紹介されている。中国語の古典をめぐる調査は、中国だけで完結するとは限らない。どこで印刷され、どのような形で伝わったかに注目すれば、日本で学ぶ漢文や書誌学ともつながる。同館は「秘籍琳琅」などの古文献データベースを案内しており、まず書名や所蔵情報を探す手掛かりにできる。

デジタル化で、原本を休ませながら読む

北京大学図書館は7月8日の告知で、翌9日から古文献のデジタル公開機能の試用を始めると発表した。対象は学内外の読者で、古文献閲覧室の専用端末から、デジタル化済み資料の全文を読む仕組みだ。収蔵、閲覧、修復、デジタル化を管理するサービス基盤を利用する。

この案内で示されているのは、閲覧室に設置された端末での利用である。手元のスマートフォンからすべての資料を自由に読めるサービスとは利用条件が異なる。また、デジタル資料も無断で複製・撮影・配布できるわけではない。読める場所と利用できる範囲を確かめることが、研究や作品制作に資料を使う際の第一歩になる。

日本にも共通する、原形を尊重する考え方

古書修復を理解する手掛かりは、日本の図書館にもある。国立国会図書館の資料保存の基本方針では、資料の劣化状況や利用頻度、希少性などを考慮して保存方法を選ぶとしている。修復では元の形と技法を尊重し、後から処置を戻せる方法や作業記録、材料の安全性にも配慮する。

同方針は、デジタル化した後も原資料を適切に保存することを求めている。画面で読めるようにする作業と、紙の本そのものを守る作業は、それぞれ役割がある。見た目を新しくすることだけで修復の良し悪しは決まらず、資料がもともと持つ情報を残して次の利用につなげる視点が欠かせない。

手仕事に関心がある人には、国立国会図書館の「剥がれた題箋の貼り方」という約6分の公開動画も入口になる。身近な道具などを使う簡易な手当ての紹介だが、貴重な資料や傷みの激しい資料には適さない場合があると明記されている。まず工程や材料選びを知る教材として見ると、専門家の仕事を理解しやすい。

実際に調べたいときは、閲覧条件を確認

北京大学図書館の古文献サービス案内では、学外者の閲覧は少なくとも10営業日前のメール申請と、承諾の連絡が必要とされる。所属機関の紹介状などの手続きもあり、観光の立ち寄りだけで原本を閲覧できる場所ではない。日本から研究目的で訪問する場合は、必要書類と利用資格をあらかじめ相談してください。

閲覧時には読書台を使い、筆記は鉛筆で行うなど、原本を傷めないためのルールがある。貴重書や著しく傷んだ資料などは原本を提供しない場合もあるため、調べたい書名と研究目的を整理し、画像や影印本で代替できるかを含めて確認するのがよい。

多元ニュース編集部/2026年10月14日。中国新聞網(10月13日)および各図書館の公式資料を基に構成。

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