
笛子や琵琶の音色が、西洋のオーケストラに加わったら、よく知られたクラシック音楽はどう変わるのか。日本フィルハーモニー交響楽団は10月24日午後2時、東京・サントリーホールで第414回名曲コンサートを開く。中心となるのは、首席指揮者カーチュン・ウォンが編曲したムソルグスキーの組曲《展覧会の絵》だ。
シンガポール・チャイニーズ・オーケストラ(SCO)のソリストを迎え、中国伝統楽器と管弦楽を組み合わせる。公式公演ページは、この編曲版の日本初演と案内している。25歳以下向けのヤング・シートやオンライン配信も用意され、若い聴き手が異なる楽器の響きに触れる機会となる。
五つの楽器の持ち味を、管弦楽の中へ
日本フィルが7月1日に発表した説明によると、ウォンの編曲は、広く演奏されるラヴェル版とは異なり、原曲であるピアノ曲の構成を大切にしている。そこに、複数の独奏者と合奏が関わる合奏協奏曲のような形で、中国民族楽器を取り入れた。
出演するのは、横笛の笛子を吹くリー・チンツン、打弦楽器の揚琴を演奏するマ・フアン、二胡などの擦弦楽器を含む胡琴を担当するタン・マンマン、撥弦楽器の琵琶を弾くワン・スーウェン、打楽器のベンジャミン・ウーの5人。名前が初めての楽器でも、「吹く」「打つ」「こする」「はじく」という音の出し方から聴き分けられる。
大編成の響きに独奏の音が重なる場面で、それぞれがどのように聞こえるかが聴きどころになる。同じ旋律でも楽器が変わると印象は変わる。既に《展覧会の絵》を知っている人は編成の違いを、初めて聴く人は楽器同士の受け渡しを入り口にできそうだ。
シンガポールの多文化性も編曲に
ウォンはシンガポール出身。発表資料では、自らの文化的背景を曲に反映させるため、中国楽器だけでなく、マレー文化の伝統的な手鼓「コンパン」や、東南アジアで親しまれる鳥「アジアコエル」の鳴き声を模したフレーズも取り入れたと説明している。
中国伝統楽器の演奏文化がシンガポールで受け継がれ、その奏者と日本のオーケストラがロシアの作曲家の作品を演奏する。今回の公演には、複数の土地と文化が重なる。楽器の由来だけでなく、演奏家がどのような環境で音楽を育んできたかにも関心を広げられる構成だ。
この編曲版は、ニュルンベルクの野外音楽祭で世界初演されたという。日本フィルの資料は、ドイツ語圏の文化チャンネル3SATやバイエルン放送のBR-Klassikでも紹介されたと伝えている。海外で演奏を重ねた作品を、日本の会場で聴く機会になる。
前半は務川慧悟のチャイコフスキー
公演前半には、ピアニストの務川慧悟がチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23を演奏する。後半の《展覧会の絵》とは独奏楽器の編成が異なり、同じオーケストラを相手に、ピアノと中国伝統楽器がそれぞれどのように響くかを味わえる。
指揮は両曲ともウォン。楽団が公表する演目は、この協奏曲とウォン編曲の《展覧会の絵》である。中国楽器だけの演奏会ではなく、ピアノ協奏曲も含む管弦楽公演として予定を立てると、全体の内容がつかみやすい。
公演名は「第414回名曲コンサート エレコム・クラシック・スペシャル」。協賛はエレコム、助成はTemasek Foundation、後援は駐日シンガポール共和国大使館。アジアの演奏家と日本の楽団による協働を、東京のホールで紹介する。
25歳以下は2,500円の席、配信は1,000円
開場は午後1時20分、開演は午後2時。会場の座席料金はS席9,000円、A席7,500円、B席6,500円、C席5,500円、P席4,500円。70歳以上向けのGs席は5,500円、25歳以下向けのYs席は2,500円と案内されている。
公式ページによると、Ys・GsはS席以外から選ぶ仕組み。年齢条件や利用可能な席、販売状況は購入時に確認してください。通常の席種と対象年齢のある制度が併記されているため、自分に適用される料金を確かめて選びたい。
遠方からでも聴けるライブ・アーカイブ配信は1,000円。公式ページには「購入から1か月間視聴可」、期間は11月23日までと記載されている。会場の入場券とは別の案内なので、購入画面で視聴期間と手続きを確認してください。
チケットの窓口は日本フィルの「eチケット♪」とサービスセンター(03-5378-5911、平日午前10時~午後5時)。公演直前のため、残席や配信の詳しい案内は日本フィルの公式公演ページで確認してください。楽器の組み合わせに興味がある人にとって、ホールと配信の両方から選べる公演となっている。
多元ニュース編集部/2026年10月22日
出典:日本フィルハーモニー交響楽団発表(PR TIMES、2026年7月1日)、日本フィル公式公演案内



