中国・明代の書82件を大阪で 台北・何創時コレクション、筆の動きと黒猫にも注目

観客の前で書家が大きな紙に筆を運ぶ席上揮毫会の参考写真
主催者資料による席上揮毫会の参考写真。11月の本展関連イベントを撮影したものではありません。提供:大阪市博物館機構/PR TIMES(ぼかしは提供画像のまま)。

大阪市立美術館で12月20日まで、中国・明代を中心とする書画82件を紹介。日本初公開72件の見どころ、11月の揮毫会、観覧料金や図録を案内する。

観客の前で書家が大きな紙に筆を運ぶ席上揮毫会の参考写真
主催者資料による席上揮毫会の参考写真。11月の本展関連イベントを撮影したものではありません。提供:大阪市博物館機構/PR TIMES(ぼかしは提供画像のまま)。

文字を読むだけでなく、線の勢いや紙面の広がりを眺める。大阪市立美術館で開催中の「躍動する明代の書―台北・何創時コレクションの至宝」は、中国・明代を中心とする書画を通じて、そんな鑑賞の入り口を示す特別展だ。台北の何創時書法芸術基金会が所蔵する82件を、12月20日まで紹介する。

大阪市博物館機構によると、出品作のうち72件は日本初公開。明代中期から明末清初にかけての作品をまとめて見る機会となる。書道を学んだ人に限らず、漢字の造形やデザイン、東アジアの文化交流に関心がある人にも注目したい内容だ。

蘇州や松江の名家から、個性豊かな明末の書へ

紹介されるのは、蘇州を中心に活躍した祝允明、文徴明、王寵や、松江の張弼、董其昌、陳継儒らの書画。さらに米万鍾、張瑞図、黄道周、王鐸、傅山、許友など、明末清初の名家の作品も並ぶ。地域や時代をたどりながら、同じ漢字でも異なる表現が生まれることを見比べられる。

主催者の解説では、明代の特徴として、学ぶ古典や用いる書体の幅が広がったことを挙げている。宋代の書風を取り入れる動きや、細かな楷書、篆書・隷書、続けて書く草書などが共存し、個性を表す方法が豊かになった。

鑑賞する場所にも変化があった。手元で開く横巻に加え、掛軸や扇面が広まり、明末には大きな縦長の作品が増えたという。文字一つの形だけでなく、長い紙面の中で墨の線がどう続き、余白がどのように残されているかにも目を向けたい。

台北の収蔵活動と、日本の書とのつながり

何創時書法芸術基金会は、収蔵家の何国慶が1995年に父の名を冠して設立した財団。明・清時代の書を中心に2,500件余りの書画を所蔵し、展覧会や講座、作品の貸し出しなどを通じて書の研究と交流を進めてきた。今回の展示は、その蓄積から選ばれた作品を日本で大規模に紹介するものとなる。

中国の書は、日本の書の歴史とも重なる。江戸時代には文徴明や董其昌らの書をもとにした「唐様」が流行し、黄檗僧らが伝えた明末清初の書も後の書家に影響を与えた。主催者は、これらの作品が今日も書を学ぶ手本になっていると説明する。

学校の習字で親しんだ漢字から一歩進み、同じ文字が時代や書き手によってどう姿を変えるかを見てみる。書画を通じた文化の往来を、作品そのものから考えられる展覧会だ。

黒猫のグッズと、大きな図録

9月16日の発表では、鑑賞後に楽しめる図録やグッズも紹介された。公式図録はB4判・256ページで税込4,000円。展示作品のカラー図版に加え、筆づかいや墨色、構成を見られる拡大図版を掲載する。会場内の特設ショップと、毎日新聞社の通販サイト「まいにち書房」が販売窓口となる。

作品の中に登場する動物も、親しみやすい入り口の一つだ。宋玨の《隷書黒児像賛》に描かれた黒猫「黒児」をもとにしたサコッシュは税込1,320円。猫と、徐枋の《鷓鴣図》に描かれた鳥のアクリルキーホルダーは各1,100円と案内されている。

傅山の《草書酔後浪書》を両面に配したトートバッグは税込1,650円。手ぬぐいには草書や猫のモチーフを用いたものがある。商品の写真と展示作品を見比べると、筆の線や小さな図像が現代の日用品のデザインに取り入れられていることも分かる。販売状況はショップで確認してください。

11月には書家の実演、観覧は12月20日まで

11月21・22日には、毎日書道会所属の書家による席上揮毫会を予定する。両日とも午後1時と午後3時に始まる2回構成で、会場は美術館2階南側展示室内。参加費は無料だが、当日の本展観覧券が必要。予約は不要で、各回開始45分前から入口で整理券を配布する。各回完全入れ替え制で、混雑時には入場制限がある。

また、11月7日午後2~3時には主任学芸員の弓野隆之による見どころ解説が予定される。こちらも当日の本展観覧券が必要で、開始30分前から整理券を配布する。作品を見る日と解説・実演の日を合わせると、鑑賞の手がかりを増やせる。

会場は天王寺公園内の大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)。開館は午前9時30分~午後5時、最終入館は午後4時30分。月曜休館だが11月23日は開館し、翌24日は休館となる。会期中の展示替えはない。

当日観覧料は一般2,000円、高大生1,200円、小中生500円で、未就学児は無料。前売り期間はすでに終了している。本展の観覧券で、同日の企画展示も鑑賞できる。公式サイトでは予約制ではないと案内している。休館やイベントの変更、購入方法は美術館の公式案内で確認してください。

多元ニュース編集部/2026年10月22日
出典:大阪市博物館機構発表(PR TIMES、8月6日、9月16日)、大阪市立美術館公式案内

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