中国の桂花茶と台湾の紅玉紅茶を、日本の米と米麹による酒造りに取り入れたクラフトサケが登場した。秋田県男鹿市の稲とアガベが9月9日に発表した「ASIAN WISDOM(アジアンウィズダム)」で、9月16日から29日まで、大丸東京店の期間限定店で販売する計画だ。花や茶、香辛料を組み合わせ、アジアの食文化を一つの醸造酒として表現する。

桂花茶や紅玉紅茶を米の発酵と組み合わせる
原材料は米、米麹に加え、日本の唐花草、韓国の朝鮮五味子、中国の桂花茶、台湾の紅玉紅茶、インドネシアのクローブ。商品区分は「その他の醸造酒」で、内容量は720ミリリットル、価格は1本1万5000円(税抜)。販売数は1000本で、期間中でもなくなり次第終了する。
開発のきっかけは、同社が2025年12月のカンファレンス「Asian Wisdom」に参加したことだった。各地の素材が持つ違いを酒造りに生かす構想で、ラベルはインドネシアのデザインチームSatuCollectiveが担当した。中国の茶を日本の醸造所が使い、別の地域のデザイナーが外観を手がけるという、複数の文化が関わる商品づくりとなっている。詳細は稲とアガベの9月9日付発表に記載されている。
桂花は中国の秋の食卓にも登場する花
桂花茶を知る手がかりになるのが、花の香りを食べ物に取り込む中国の習慣だ。北京市中医薬管理局が掲載する北京中医薬大学東方医院の季節紹介では、桂花は菓子や甘いペースト、茶に使う素材として紹介されている。花の観賞にとどまらず、香りそのものが食卓の楽しみとなっている。
同資料には、桂花を蜂蜜と合わせたシロップを飲み物に加えたり、パンに塗ったりする使い方や、山芋と桂花を組み合わせた菓子の例もある。今回の酒に採用された桂花茶も、こうした花を味わう文化とつながる素材といえる。背景資料は同局の秋分と食材の紹介を参照。
紅玉紅茶の個性を支える台湾の品種育成
もう一つの茶の素材、紅玉は「台茶18号」という品種名でも知られる。台湾の農業部茶及飲料作物改良場によると、ミャンマーの大葉種と台湾の野生山茶を交配し、その後代から選抜した紅茶向け品種で、1999年に命名が認められた。
同場は、紅茶に仕上げた際の金紅色の茶湯と、ほのかなミントやシナモンを思わせる香りを特徴として挙げる。紅玉という名前の背後には、異なる系統の茶樹を組み合わせる育種の蓄積がある。桂花の花香とともに、茶そのものが持つ品種の個性にも目を向けると、今回の原材料選びをより具体的に理解できる。また、紅茶は製茶の過程で萎凋や揉捻を行い、葉の成分の酸化を進める茶である。花を使う桂花茶と、茶樹の品種に特徴がある紅玉紅茶では、香りに注目する視点も異なる。製茶の概要は同場の紅茶解説で確認できる。品種の由来と特徴は改良場の育成品種紹介に詳しい。
男鹿の旧駅舎から広がるクラフトサケ
稲とアガベの醸造所は、2021年に男鹿市の旧駅舎で生まれた。同社が手がけるクラフトサケは、日本酒の製造技術を基礎に、米と米麹、さらに果物やハーブなどを発酵させ、新しい味わいを探る酒である。
事業は醸造だけにとどまらない。公式サイトでは、酒粕を使う食品加工、飲食店、宿泊施設などを紹介している。酒を知った人が男鹿を訪れ、食事や滞在を楽しむ流れをつくることが、同社のまちづくりの考え方だ。今回の商品は、この地方の醸造所の活動と、中国を含むアジア各地の素材を結び付ける取り組みとして位置付けられる。醸造と地域事業については稲とアガベ公式サイトで紹介されている。
大丸東京店で9月29日までの販売を予定
会場は大丸東京店1階SVPイベントスペース(東京都千代田区丸の内1丁目9-1)。発表された開催時間は午前10時から午後8時まで。購入を希望する場合は、来店前に販売状況や営業時間の変更を確認してください。
期間限定店では、アーティストや男鹿の店舗と協働した「交酒 花風」全7種も扱う。雪下まゆや博多人形師・中村弘峰がラベルを手がけた商品も含まれ、それぞれ720ミリリットル、3300円(税込)と案内されている。素材の組み合わせを見せるASIAN WISDOMと、ラベルによって作り手の表現に触れる花風を、同じ売り場で紹介する催しだ。
会期・会場・取扱商品の案内は、9月9日付の期間限定店開催リリース(PR TIMES)をご確認ください。
多元ニュース編集部/2026年9月17日



