香港で日本の手仕事を体験 加賀友禅と尾張仏具の職人が10月に実演

筆を持ち、草花模様の布に彩色する加賀友禅の職人。発表元が提供した写真

香港のPMQで10月、加賀友禅と尾張仏具の職人による実演・制作体験を開催予定。Atelier DENSANが日本の伝統工芸を現地に伝える。

香港でこの秋、日本の染色と木工を職人から学ぶ機会が設けられる。伝統的工芸品産業振興協会は2026年9月7日、「Atelier DENSAN」の香港ワークショップを発表した。10月の会期を二つに分け、加賀友禅の彩色と、尾張仏具に受け継がれる木工技術を紹介する。

筆を持ち、草花模様の布に彩色する加賀友禅の職人。発表元が提供した写真
加賀友禅の技を紹介する提供写真(香港の開催当日の写真ではありません)。写真:伝統的工芸品産業振興協会/PR TIMES。

10月前半は加賀友禅、後半は木工を体験

10月1日~5日は、伝統工芸士の山田武志氏が加賀友禅の彩色などを実演し、参加者は指導を受けながら額装用の作品を制作する。10月15日~19日は、伝統工芸士の岩田康行氏が木工を実演。柄杓づくりと、かんなくずを花の形に仕立てるアロマディフューザーづくりを予定している。

両企画の会場は香港・中環のPMQ内「Arts & Crafts Studio, H401, Hollywood」。所在地は35 Aberdeen Street, Central, Hong Kong。料金、各回の時間、定員、予約方法は9月7日付リリースには記載されていない。参加を希望する場合はAtelier DENSAN公式Instagramなどで確認が必要だ。実施内容は変更になる場合がある。以上の開催情報は、協会のワークショップ発表による。

加賀友禅の見どころは、五つの色と繊細な手描き

加賀友禅はどのような工芸なのか。産地の公式サイトによると、加賀の染色の歴史は「梅染」という染め方にさかのぼり、17世紀には模様染めの技法が発達した。1712年に金沢へ移った宮崎友禅斎が、図案や友禅糊の技術の発展に大きく関わったという。

特徴となる配色が、臙脂(えんじ)、藍、黄土、草、古代紫の「加賀五彩」だ。自然の草花を絵画のように描く模様と、落ち着いた色の組み合わせに特色がある。金箔や刺繍などによる装飾をほとんど加えず、染めの表現を生かす点も特徴とされる。実演を見る際には、全体の華やかさに加え、一筆ずつの線や色の濃淡に目を向けると、手描きならではの工夫を捉えやすい。歴史・特徴は加賀友禅の産地公式解説、染色表現は同公式サイトを参照した。

尾張仏具を支える、分業と木を扱う技術

尾張仏具は、愛知県名古屋市を中心に発展してきた工芸品だ。伝統工芸 青山スクエアの解説によると、木製の漆塗り製品が中心で、木地づくり、彫刻、漆塗り、彩色、金具づくり、金箔置きなどの専門職が工程を分担する。寺院や家庭で使う道具の形や大きさ、宗派による違いに応じるため、多様な技術が組み合わされている。

例えば木魚は、ノミやかんなで形を整え、内部をくり抜いたうえで音を調整する。木製の仏具・神具には、部材を組み合わせる「ほぞ組み」や手彫りなども用いられる。今回の木工体験を理解するうえでも、こうした完成品の背後にある加工の積み重ねが手掛かりになる。工芸全般の説明は青山スクエア「尾張仏具」に基づくもので、これらすべての工程を香港で実演するという意味ではない。

岩田康行氏が取り組む、神具から暮らしの道具への展開

講師の岩田氏については、名古屋国際会議場が2022年に公開したインタビューでも、その仕事が紹介されている。岩田三宝製作所の7代目として、供物を載せる台「三方」などの神具を手掛け、ヒノキと加工技術を生かしたコースターやトレーなども開発してきた。

同インタビューでは、現代の生活に合う道具を提案することや、工芸を知ってもらう機会を増やすことへの考えを語っている。伝統的な用途を持つ技術を日用品へ広げる歩みを知ると、今回の柄杓や香りを楽しむ小物づくりも、職人の仕事と日々の暮らしを結ぶ試みとして理解できる。人物紹介は名古屋国際会議場のインタビューを参照した。

海外での展示販売と、職人に出会う機会をつなぐ

Atelier DENSANには、海外の人が日本の工芸品に触れる場を広げ、現地でどのように受け入れられるかを探る目的もある。協会の8月24日付発表では、経済産業大臣指定の伝統的工芸品を対象に、海外での展示販売とテストマーケティングを行うとしている。

2026年度のポップアップは、ロンドンのwagumiで9月1日~10月25日、台北のCRAFT TOKYO 東京選物で10月1日~12月31日、ブリュッセルのAOI x Kyoto Sélectionsで10月10日~11月28日を予定する。香港の制作体験とは別の展示販売企画で、商品の使われ方や現地の反応を探る取り組みだ。日程・目的はポップアップ開催発表を参照した。

多元ニュース編集部。開催情報は2026年9月15日確認。主催者発表に、産地・関連機関の公開資料による背景説明を加えて構成。

この記事を共有する